元DeNA寺田光輝さんが執筆した“ムシキング”こと山下幸輝さんについての文春野球コラムが泣けると話題に

603: 名無しさん@おーぷん 23/04/18(火) 11:05:40 ID:rK.jj.L27

寺田の執筆によるムシキングの記事

 昨シーズンをもってプロ野球の世界を後にした彼を覚えているだろうか。山下幸輝、通称むしくんである。ムードメーカーで明るくて、爽やかで、愛想もよくて……言い出したらきりがないが、だれが見ても彼はいいオーラで溢れている。しかし、それはむしくんが文字通り命懸けで作り上げた『山下幸輝』なのだ。今回は彼が『山下幸輝』をいかにして作り上げたか、『山下幸輝』は何を思い、何を残したのか、今はどうなっているのか、今まで誰にも明かされていなかった彼の物語をお届けしたいと思う。
「今年でクビだ」が口癖だった『山下幸輝』が生まれ変わった瞬間
 大前提として、むしくんは決して強い人間ではない。実際、2022年8月2日を最後に、彼はグラウンドから姿を消している。簡単に言うと、グラウンドに来られるような状態ではなくなってしまったのだ。
 ただ、彼はグラウンドから逃げ出したわけではない。むしろ逆で、心身の限界を何度も超えて、その度に悩んで、戦い続けた結末なのだ。強がるポーズは、いつまでも続けられない。それをわかっていながら、彼は抗ったのだ。生まれ変わった『山下幸輝』として、限界まで戦ったのだ。そしてこの『山下幸輝』は、彼一人で作り上げたものではない。プロ野球選手として終りかけていた彼に最後の最後まで戦うきっかけをくれたのは、2020年シーズンのファームコーチであった万永貴司氏であった。
 ふとした瞬間に人は弱音を吐くものであって、そんなときのむしくんの口癖は「今年でクビだ」であった。もちろん、暗くどんよりした雰囲気ではなく、あっけらかんとして言って見せてはいるものの、どこか哀愁の漂うセリフであった。
(中略)
ターニングポイントとなった新型コロナウイルスへの感染
 それ以降、彼は持てる全てを出し続けていた。繰り返しになるが、彼は決して強い人間ではない。不安に襲われることもたくさんあったという。それでも、弱音は通勤中の車の中で出し切り、車を降りた瞬間からは最高の自分を演出し続けた。金髪の姿を鏡で見て、自分を鼓舞し続けた。何度も何度も弱い自分を隠し続けた。そんなギリギリの戦いを続ける彼に、とどめを刺すかのような出来事が起こってしまう。新型コロナウイルスへの感染である。本人も、この出来事はターニングポイントだったと話してくれた。ここですべての歯車が狂ってしまう。
 昨年4月に感染し、その後無事回復するものの、心身の違和感は拭えなかった。グラウンドに復帰してからも体の重さは取れなかった。後遺症なのか、どうしたら完全に回復するのか、様々な疑念が生じた。そして体の不調は心にも影響を及ぼしてしまう。徐々に追い詰められた彼は「これ以上は続けられない」と、6月上旬に球団に申し出た。そうしなければいけないほど、状態は悪化していた。そして2022年8月2日、彼は完全にグラウンドを後にした。心療内科にも通った。輝きを放つ選手がいる一方で、日常の生活もままならない選手がいる。野球とは、プロ野球の世界とは、強く生きるとは、美しくて残酷だ、そう思わざるを得なかった。

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Source: ベイスターズ速報@なんJ

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