■オールドルーキーを追う
企業の終身雇用は揺らぎ、転職や働き方に対する考え方が変化しています。厳しい時代を生き抜くヒントは、もしかしたらシビアな実力主義のプロスポーツ界に隠されているかも――。
サッカー選手の引退後のキャリア支援に携わる日本プロサッカー選手会(JPFA)の佐藤将司さんに、話をうかがいました。
会社員も「自分ごと」としてとらえられる現状や課題が、そこにありました。
――Jリーガーの引退後の進路は。
ここ3~4年のデータをみると、Jリーグから引退する選手は毎年、50~60人います。その中で一般企業に就職する選手は3分の1ほど。毎年、20人いるかいないかといったところです。
例えば、2021年のシーズンで引退した選手は22年3月の時点で50人。そのうち、26人がJクラブのコーチやスタッフになり、7人がJクラブ以外のサッカー関連の仕事に就きました。50人中33人はサッカー関連の仕事に就いたということです。
一般企業に進んだのは15人。残る2人は、何をするのか決まっていない状態でした。
契約満了(解雇)になり、進路が決まっていない選手たちに電話をかけ、状況を確認するのが私たちの最初の仕事です。その時点では「現役を続けたい」「次のクラブを探しています」と返ってくるのが大半です。ほどなくシーズン前のキャンプを迎え、負傷や移籍などで急な欠員が出る時期でもあり、そこから生まれるチャンスを最後まで待っているのです。
――やはり、引退後もサッカー界に残りたいと考える選手は多いのですね。
サッカー界に残って、選手を育てたい、監督として勝負したい、と考えている人はやはり多いです。一方、半ば消去法のような考え方でサッカー界に残るしかない、と進路を選択しているケースも見受けられます。
一般の社会人の方も同じ感覚だと私はとらえています。同じ業界、同じ業種なら比較的、転職はしやすいでしょう。サッカー選手でいえば、選手からコーチやスタッフになるのは、業界内での転職です。同じ業界だから、周囲で働く人たちのことや勝手が分かっているという安心感はあると思います。
――会社員とサッカー選手。長期的にキャリアを考えるうえで違いは?
選手は定年がない代わり、必ず引退を迎えるということです。会社員は解雇されたり、会社がなくなったりしない限り、基本的に自分の意思で会社にとどまることができるでしょう。サッカー選手は、どんなに選手寿命が長くても必ず選手としての引退を迎え、セカンドキャリアを迫られる局面に立たされます。
よく選手から聞くのは、違う業界に踏み込むのが「怖い」という声です。
一般企業に転職した選手からは「怖かった」「不安だった」という声を必ず聞きます。
朝日新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb61c73e0a13984b74921f5216880f975f2d4eca
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Source: サカラボ | サッカーまとめ速報