冷静な判断と熱い闘志。ダルビッシュの98球にベテランの醍醐味が詰まっていた。初回に1死から四球と3連打で2失点。球数25球を要したが、そこから、立て直した。「真っすぐを捨てて、カットボールでいってリズムをつかんだ。カットボールは去年より落ちてくれる。打者の反応を見ても、なかなか捉えられていなかった。ゲームに入って自分のリズムをつかんで、リリースの感じも分かってくる。同じ球速帯で色んな変化を有効に使えたと思う」と説明した。
直球の制球が定まらないと判断し、カットボールに方向転換。回転数ではレイズのラスムッセンの2634に次ぐメジャー2位2632を誇る武器を自在に操い、活路を見出した。これが、試合前にメルビン監督が「その日のいい球を見極めて、試合をつくるのは、若い投手のお手本。だんだん味が出る投球」と表現した投球術だ。
経験は、とっさの判断にも生きた。味方打線が4―2と勝ち越した直後の5回。1死二塁からヘイズの打球速度106・9マイル(172キロ)のライナーが右上腕部に直撃してヒヤリとする場面があった。それでも「マウンドとホームの間に打球が来た時、当たるのは分かった。体をビクッと固めてしまうとダメ。ボールが来る方に骨盤を回すと衝撃は和らぐので、大丈夫。本能的な部分もある。何度も当たっているので」と平然と振り返ってみせた。
「普通なら即交代のはず。でも、彼は我々がマウンドに出ていくことすら嫌がっていた。彼のことを知った今なら驚きはない。タフな男だ」と、マウンドに駆け寄った指揮官も圧倒される闘争心で続投を志願すると、その回は1点を失ったものの、6回はわずか8球の3者凡退で力強くフィニッシュした。
17日の本拠でのブレーブス戦で今シーズン初勝利を挙げ、メジャー通算80勝として黒田を抜いて単独2位になっていたダルビッシュ。この日は志願の続投で、メジャー通算投球回数が黒田を2/3回上回り、日本人歴代1位の野茂英雄がマークする1976回1/3に次ぐ、単独2位に浮上した。
「何とか粘って投げたかった。黒田さんは、強靭(きょうじん)な体で毎年200イニングを投げられていた。そういう選手を超えられたことは、誇りに思う。ただ、改善すべきところはあると思う。これから、5月、6月となっていくけれど、少しずついい投手になっていきたいと思う」熟練の投球術と不屈の精神で、更にキャリアを伸ばしていく。
https://hochi.news/articles/20220430-OHT1T51083.html
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Source: ファイターズ王国@日ハムまとめブログ